『FireDragon』バイオエタノールで作られた無害な固形燃料

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軽量コンパクトで熱量コントロールし易い固形燃料。
煮炊きにおいても極小のギアで使用できるためUL系燃料の筆頭です。

然しながら多くの固形燃料は臭いや毒性により携行性や取り扱いに難があります。

今回はメタノールなどの毒性を気にする必要のない次世代の固形燃料を紹介しましょう。

固形燃料の毒性について

まずは固形燃料の毒性について確認しておきます。

キャンパーやハイカーに流通している固形燃料は、メタノールをゲル化した、いわゆる卓上コンロ用固形燃料と、ヘキサミンを成分とするタブレット型固形燃料が多いと思います。

(画像出典:Amazon)

コスパに優れる卓上コンロ用固形燃料は、キャンプ以外でも一人鍋の燃料としても使用されています。
ニチネンやニイタカの固形燃料などは大量購入で単価を抑えることができ、100円ショップDAISOなどでは3個で110円(税込)、つまり1個37円で購入することが出来ます。

ライトハイクでは携行性と安全性に優れるエスビットなどのタブレット型固形燃料が使用されます。
液化しないため安全性が高く、燃料を分割することで燃焼時間のコントロールが行えるところもメリットです。

然しながら安価で使い易い反面、卓上コンロ用固形燃料にはメタノール、エスビットのタブレット型固形燃料にはヘキサミンという毒性のある物質が用いられてるという懸念もあります。

メタノールとは


メタノールはエタノールと比較してその毒性について様々なメディアで取り上げられています。

毒性は摂取量に伴い段階的な中毒を発症します。
初期では嘔吐やめまい、重度となると失明や場合によっては死亡の恐れもあります。
更に燃焼ガスにも毒性があり、目の痛みや喉の炎症を引き起こします。

対してエタノールはお酒に含まれるアルコール成分であるため、飲用が可能な物質です。
※一般的にアルコールストーブなどの燃料となる工業エタノールには少量のメタノールなどの毒性のある物質が含まれるため、メタノールよりも安全ですが飲用は厳禁です。


本来メタノールは常温常圧では液体の物質です。
自然発火はありませんが、揮発性が高く、引火点が低いという特性を持ちます。

固形燃料は凝固剤によりメタノールをゲル化している状態で、燃焼時には燃焼熱により液化します。

タブレット型固形燃料の主成分であるヘキサミンも同様に毒性のある物質です。

燃焼ガスにより目の痛み、喉の炎症などを引き起こすため、メタノール固形燃料同様に取り扱いには注意が必要です。

固形燃料の懸念点

固形燃料はギアを含めた軽量且つコンパクト化へのポテンシャルを備えていますが、原材料の持つ毒性により使用を躊躇する方もおられると思います。

  • 携行時には固形燃料と食料、調理ギアを分離してパッキングしなければならない
  • 悪天候や低温下でも必要以上の換気をしなければならない
  • 節水が求められる山行中でも、調理ギアを洗浄しなければならない

特にライトハイクにおいてはこれらのケアはストレスとなり、また対策のための付帯装備により重量やパックサイズが増加することも考えられます。

もし固形燃料に毒性がなかったなら・・・今回はそんな期待に応える固形燃料「FireDragon/ファイヤードラゴン」の紹介です。

FireDragon/ファイヤードラゴンとは

FireDragonはBCBインターナショナル社が開発した、バイオエタノールを原料とする次世代固形燃料です。

毒性のないバイオエタノールを少量の凝固剤でゲル状に固めた燃料で、燃焼ガスにも有害物質を含まない人体に安全な固形燃料です。

(画像出典:firedragonfuel.com)

バイオエタノールとは


バイオエタノールとはトウモロコシやサツマイモ、サトウキビなどの植物を微生物の力で発酵させ、蒸留させることで得られるエタノールです。
物性はエタノールと全く同じで無毒です。
燃焼ガスにも有害物質を含まず、黒煙や煤を発生しません。

バイオエタノールは植物由来のエタノールのため、カーボンニュートラルなエコロジカル燃料です。
原料が植物であることから、燃焼時に排出される二酸化炭素量は原料となる植物が成長する過程で光合成により吸収する二酸化炭素量と同等であるという考え方に基づき、バイオエタノールの二酸化炭素排出量はプラスマイナスゼロとされています。

これらのことからバイオエタノールは人と環境にやさしいCLEANでGREENな燃料として注目されています。


バイオエタノールを原料とするFireDragonは、人体に安全なだけでなく環境にも安全な燃料です。

FireDragonの性能

FireDragonは固形燃料の中でも優れた火力と着火性能を誇ります。

一粒27g毎に密閉個装され、室温でおよそ11分間燃焼します。
燃焼中は燃焼熱で液化します。

火力は6分半程度で水500ccを沸騰させる熱量を発散します。

揮発性が高く、濡れていてもファイヤースターターで容易に着火することが可能です。

(画像出典:Amazon)

一度に使い切らない場合にはナイフなどで切り分けて使用します。
アルファ化米やコーヒーのための湯量200cc程度であれば、1/3ずつ切り分けて使用すると丁度良いでしょう。

ナイフに付いたFireDragonは無毒なだけでなく、ナイフを消毒する効果があります。
勿論そのまま食材の切断に使用しても問題ありません。

封を切ったFireDragonは成分が揮発し続けるため、長期保存は出来ません。
但し密閉出来る環境が整えば短時間の保存は可能です。

燃焼途中で消化したFireDragonは冷めると再びゲル化します。
蓋が出来る容器を用いれば、ゲル化したFireDragonを持ち運び再燃焼させることも可能です。

燃焼時は二酸化炭素を排出しますが、有毒ガスや黒煙は発しません。

FireDragonと他固形燃料の燃焼状態の比較

FireDragonの特徴
・燃料及び燃焼ガスは無毒です。燃焼時には黒煙も発生せず、微量の煤は生分解します。
・一粒で11分間燃焼します。切り分けて使用することも可能です。
・無毒でありながら消毒効果もあり、食料と同梱が可能です。
・悪天候でも容易に着火でき、消化後の残燃料は再燃焼可能です。
・エコロジーで環境負荷の低い燃料です。

固形燃料の利便性に無毒という性質が備わることで、FireDragonは従来の固形燃料に比べ圧倒的に使い易い燃料です。
環境負荷のないエコロジカル燃料であることも自然と共に生きるハイカーには重要な事で、今後ライトハイクにおける新たな燃料として根付いていくことでしょう。

BCB International / BCB インターナショナル


ファイヤードラゴン

FireDragon

935/6pc

燃焼時間 およそ11分
重量 約27g/pc

(画像出典:firedragonfuel.com)

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