アウトドアマンならいつか手にするアウトドアナイフ。
中でも高い人気を誇るモーラナイフは、初めて手にする方からハードキャンパーまで万人の期待に応えるナイフです。
その理由は実績が物語る信頼性と豊富な種類があるからですが、その種類の多さ故、初ナイフ選びは至難の業でもあります。
今回は悩まずモーラナイフを選び抜くために、モーラナイフの種類と特徴をとことん掘り下げていきましょう。
モーラナイフとは
モーラナイフとは、創業125年を誇るスウェーデンを代表するナイフブランド「Morakniv AB」が作り出すナイフです。
長い歴史が育てた高い品質は、スウェーデン王室からも認められる逸品です。
(画像出典:Amazon)
モーラナイフはその高い品質にも拘らず優れたコストパフォーマンスを備えるため、多くのアウトドアマンが愛用するナイフです。
そんなモーラナイフの誕生はスウェーデンのモーラ(ムーラ)地方の作業場でした。
木工作業の工具として作られ評価を得たナイフは、いつしかアウトドアやキッチンなどナイフを必要とする分野へ惜しみなく展開し、今では一見では理解できな程多くの種類をもつナイフメーカーへと成長しました。
モーラナイフの特徴
プラスチックとゴム製の柄は耐久性と滑り難さという実用面でのメリットが多く、グリップし易いフォームも含めてモーラナイフが発展した要因でもあります。
もちろん刃への拘りも当然の如く強く、様々な分野で適した形状を造り続けてきたことで、現在の豊富なレパートリーを築き上げました。
それはアウトドアシーン用に限定したとしても、求めるナイフを選ぶのは至難の業です。
そこでまずは、使い方に大きく影響する「形状の違い」からひとまず分類していきましょう。
モーラナイフの種類
(画像出典:Amazon)
アウトドア用のナイフは、後に紹介する玄人向けナイフを除くと、およそ4つの種類に分類することが出来ます。
一般的にアウトドアナイフと聞いて想定されるものはコンパニオンというシリーズになりますが、刃の短いエルドリスはモーラナイフの独創的なフォルムとして有名なナイフです。
多くのキャンパーは、この4種類から1種類を決めるのにも悩むかと思いますので、以下にそれぞれのシリーズの特徴を紹介しましょう。
コンパニオン
Companion
エルドリス
Eldris
フィッシング コンフォート
Fishing Comfort
クラシック スカウト
Classic Scout
エルドリス、フィッシング コンフォート、クラシック スカウトは、いずれもステンレス刃で扱い易くカラーバリエーションも豊富なため、用途や目的がはっきりしている場合におすすめですが、多くの方は汎用的なアウトドアナイフを求めていると思いますので、以降では汎用性の高いコンパニオンについて深掘りしたいと思います。
コンパニオンの種類
その中で目的に合うひとつのナイフを選ぶには、ナイフの基本を知ることが重要です。
と言っても奥深い世界を全て理解することは困難なので、ここではコンパニオンの中からひとつを選ぶための知識に絞って紹介しましょう。
コンパニオン選びで確認すべき要素は、刃の材質とコーティング、そして厚みの3つです。
細かくは柄の長さや刃の長さにも多少の違いはありますが、これらは刃の材質と厚みにより想定される用途に適した長さで作られているため、特に強い拘りがなければ意識しなくても良いでしょう。
その1.材質とコーティング
モーラナイフの材質には、カーボンスチールとステンレススチールがあります。
CARBON STEEL | STAINLESS STEEL | BLACK COATING |
カーボンスチールは炭素鋼と呼ばれる硬い材料で、焼入れ焼き戻しによる優れた強度と靭性を備えます。
ステンレススチールに比べ高い強度をもつ特徴がありますが、反面そのままでは錆びてしまうという欠点もあります。
そのため使用後や保管時には防錆処理が必須で、メンテナンスを怠ることは厳禁です。
カーボンスチールの弱点である錆に対応した材質がステンレススチールです。
錆びに強い材質のため水場での使用にも強く、食材に防錆剤が付着することもありません。
様々なシーンで使われるアウトドアナイフにおいて、特にビギナーには重宝される使い易い材質です。
但し硬度はカーボンスチールに比べると落ちるため、刃こぼれや摩耗はステンレススチールの方が早くなります。
もうひとつ錆への対策としてコーティングによる錆止めがあります。
ブラックコーティングと呼ばれる黒染め処理は、カーボンスチールの強度を必要としながら錆にも強くしたいという要求に応えた防錆処理です。
ブラックコーティングが施されたブレードは、その名の通り黒く鈍い色味が付きます。
ブラックコーティングはブレード全体に施され、刃先を研ぐと剥がれてしまうため、長く使うにはブラックコーティングだけでは錆を防ぐことは出来ないことを理解しておきましょう。
その2.刃(ブレード)の厚み
刃の厚みはナイフの強度と作業のし易さに影響します。
分厚い程もちろん強度がありますが、ただ分厚ければ良いという訳ではなく、ナイフを使う作業からその厚みを選ぶ必要があります。
Carbon 2.0mm |
Companion 2.5mm |
Heavy Duty 3.2mm |
例えば食材の様な柔らかい物を切断するような場合には、刃厚は薄い方が使い易く、カットしたものも美しい出来栄えとなります。
逆に薪などの切断には、薪同士を引きはがす力が生まれる分厚い刃のナイフの方が適しています。
用途に合わせた厚みを選べば作業が快適になりますが、一本しか持ち歩かない野営などのシチュエーションでは、多くの場合破損リスクの低い分厚いナイフで兼ねられます。
コンパニオンから唯一のナイフを選ぶ
では材質とコーティング、そして刃厚に着目してコンパニオンの種類をみていきましょう。
選択の順序はまず刃厚から選び、そのあと材質を、そして必要であればコーティングを付けると絞りやすいため、この選択の順序に沿って紹介していきます。
刃厚2.0mmのコンパニオン
刃厚2.0mmの薄いコンパニオンは、食材の切断や細かなクラフト作業に適したナイフです。
負荷の高い作業では力の入れ方に注意が必要となります。
現在はコンパニオン カーボンのみ販売されています。
コンパニオン カーボン
Companion Carbon
汎用性が高いコンパニオンの中で、軽負荷に対応した標準的なナイフです。
ナイフの扱いに慣れている方、これからナイフを良く知りたい方におすすめです。
刃厚2.5mmのコンパニオン
コンパニオンの標準刃厚となる2.5mmのコンパニオン。
基本となるコンパニオンはステンレスを刃材とするため水作業にも強く、食材のカットからクラフト作業までオールラウンドに使用出来る非常に汎用性の高いナイフです。
人気のある刃厚2.5mmのコンパニオンには、より強度のあるカーボンスチールを刃材とするタクティカルも販売されています。
コンパニオン
Companion
コンパニオン タクティカル
Companion Tactical
コンパニオンは多くの愛用者を持つオールラウンダーなナイフです。
扱い易いバランスの取れた構成で、取敢えず1本持っておけば何とかしてくれるという高い信頼が寄せられています。
薪をガツガツ割るような使い方を考えていないのであれば、コンパニオン(ステンレス)で間違いないでしょう。
刃厚3.2mmのコンパニオン「ヘビーデューティー」
刃厚3.2mmを誇る堅牢形のコンパニオン「ヘビーデューティー」。
バトニングなどのハードな使い方にも耐える強靭さが特徴です。
待望のステンレスタイプが登場したことでビギナーでも扱えるクラスとなりました。
コンパニオン ヘビーデューティー
Companion Heavy Duty
コンパニオン ヘビーデューティー ステンレス
Companion Heavy Duty Stainless
ヘビーデューティーは細かい作業を得意としない代わりに、荒く激しい作業に対応することが出来るナイフです。
特にステンレス仕様が発売されたことで、コンパニオンからの乗り換えとしても評価があがっています。
どちらを選ぶかはバトニングをするかどうかがひとつの目安でしょう。
堅牢モデル
次に紹介するナイフは、これまで紹介してきたものより堅牢なものになります。
最初の1本や汎用性を求めたナイフならば、コスト的にみてもコンパニオンやヘビーデューティーが適しますが、より激しくサバイバルチックに使うならば、次の2本のナイフを候補に入れてもいいでしょう。
ブッシュクラフト サバイバル
Bushcraft Survival
ガーバーグ
Garberg
まとめ
ナイフにはとても奥深い世界があります。
使いこなすには基本的な知識の習得も重要ですが、まず1本手にして使い倒すことも近道です。
最後に今回紹介したナイフの中からおすすめの2本をあげておきましょう。
入門として最適ながら、ずっと使い続けられる逸品なので、ナイフを検討している方は是非手にしてみてください。