エアマットの構造と種類を徹底解説。R値とパックサイズで選ぶ11品

Outdoor Gears

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コンパクトな収納力でパッキングを支援するエアマットは、テント泊登山やバックパックキャンプなどで重宝されています。

エアマットは空気を入れるだけで快適な寝床が確保できるシンプルなギアですが、その構造はそれ程単純ではなく、スリーピングマットの中でも随一と言える程の多種多様な構造的特徴を持っています。

今回はエアマットの基本的な構造と選定方法、そしておすすめを紹介しましょう。

エアマットとは

エアマットはスリーピングマットの一種で、空気圧により断熱性やクッション性を作り出すマットです。

内部構造にフォームが含まれないため、空気を抜くとコンパクトに収納できる事が最大の特徴です。
ザックの容量の削減に貢献すると共に、低労力で素早い片付けを実現します。

エアマットの構造

原始的なエアマットは、2枚のシートが気室を形成するように貼り合わさった構造をしており、注入口から空気を入れると気室が膨らみマットに成ります。

身体と地面の間に空気の層が作られることで、ゴツゴツ感や固さ、冷たさが直に伝わらないようになります。

然しながら空気の層だけでは断熱性がそれほど高くないため、単純な気室だけを備える原始的なエアマットでは使用に限界があります。
夏のみに限定して使用するのであれば、R値2未満の原始的構造のエアマットで十分ですが、春や秋、そして雪の降る冬の使用が想定される場合は、断熱性を高めたR値3以上のマットが必要になります。

R値とは

R値とは断熱性能を表す数値です。
R値が高いほど断熱性能が高く、地面の冷気を表面まで伝え難いマットと言えます。

(画像出典:THERM-A-REST)

断熱性能を要しない夏場の使用であればR値は2未満でも十分ですが、3シーズン、4シーズン、更には極寒のシチュエーションが想定される場合には、相応のR値以上の断熱性能を準備する必要があります。

もしひとつのマットで十分なR値が確保できない場合には、マットを2枚重ねるなどの対応でも効果があります。
体感として感じられるように、R値は加算して断熱性を高めることが可能です。

断熱構造の種類

断熱性能の低い原始的なエアマット構造に対し、R値2以上のエアマットには様々な断熱構造が備えられています。

断熱構造は各メーカーがオリジナルに開発しているため、詳細を理解するにはそれぞれのマットの断熱構造を確認するしかありませんが、主に次の3つの構造がメジャーな断熱構造です。

ボックス構造


気室構造を2段、または複雑なマトリックス構造に分割することで、空気層を何層かに重ね、段階的に温度差を形成する断熱構造です。
気室層を2段以上に重ねることで断熱性が格段に上がるため、分割形状は様々ですが多くのブランドでよく見られる技術です。

インサレーション / インシュレート


(画像出典:Amazon / 参考:SEA TO SUMMIT サーモライト)

インサレーション、またはインシュレート構造は、気室内に中空糸繊維を内蔵した断熱構造です。
中空糸は繊維内に空気を蓄えることが出来るため、中空糸繊維を気室内に内蔵することで、気室内の対流が抑制されヒートロスを防ぎます。

更に中空糸はロフトの形成効果が高いため、空気層の厚みを確保し、クッション性においても効果を発揮します。

サーマルミラー


(画像出典:NEMO / 参考:NEMO Apex™バッフル構造)

サーマルミラーは熱を反射させる素材を組み込む構造で、冷気を跳ね返し体温を輻射させ、温度の境界を作る機能をもちます。
ニーモ製品に限らず、インシュレート内蔵モデル以上の断熱性能の高いエアマットに多く組み込まれている構造です。

これらの断熱技術は各ブランドの一部の技術で、更にブランド毎に呼称や技術の相違があるため注意が必要です。
また、実際にエアマットに組み込まれる際には、R値のターゲットに合わせて複合的に選択されることになります。

個々のエアマットに使用されている詳しい断熱構造については、それぞれのエアマットの技術ページ等にて確認頂きたいですが、断熱構造の種類に拘らない方やお気に入りのメーカーがある方などは、基本的にR値を目安に選定いただければ良いでしょう。

クッション性

断熱性能と共に重要な性能がクッション性(寝心地)です。

クッション性は実際に触れて試してみないと正確には分かりませんが、試す環境が身近にない方は次の2点を留意して選定すると良いでしょう。

  1. 厚み
  2. 気室の分割構造
厚み

厚みはマットを膨らませた時の厚さです。
地面の凹凸を吸収するにはマットの厚みが不可欠で、高いクッション性や平坦度を求める場合はより厚いマットを選ぶと良いでしょう。

気室の分割構造

気室の分割構造はマットにより異なりますが、エアマットは内部にフォームが入っていないため、荷重を支えるものは圧縮された空気です。

原始的なチューブ型気室の場合、ひとつの気室容積が大きいことで空気が動き易く、そのため荷重が加わっても空気が逃げて押し返す力が発生しません。
反対に気室が細かく分割されたマットでは、ひとつひとつの気室セルが十分な反力を発生させると共に、それぞれが半独立的に荷重の影響を受けるため、広範囲で見ると荷重によるマットの変形が少なくなります。

つまり、気室容積が大きいところは柔らかく、時にぶよぶよとした不快な反発となり、反対に容積の小さい気室は張りのある固い反発となります。
但しこの寝心地は気室の分割だけで割り切れるものではなく、ファブリックの種類や厚みにも大きく影響されるため、総合的な判断が必要です。

厳選 エアマット

それではアウトドアでの使用にも耐える、高品質なエアマットの紹介です。
ブランド毎に紹介していますので、R値を目安に各スペックを確認しましょう。

mont-bell / モンベル

モンベルのエアマットは原始的な構造に近いシンプルな構造のエアマットです。
構造モデルは1種類のみで、温かい季節を対象としています。

バルブには逆止弁付きのフラットバルブが採用され、空気の注入と排出が簡単に行えます。
ポンプバッグは別売りです。

mont-bell / モンベル


U.L.コンフォートシステム エアパッド

(画像出典:Amazon)

シンプルな構造のエアマット。
原始的なエアマットに比べ気室間の隔壁が高いため、冷気のすり抜けに強くクッション性も良い。
1層の空気層のみのため断熱性は高くなく、温かい季節の使用が想定されます。

9,350~

90 120 150 180
サイズ 50×90cm 50×120cm 50×150cm 50×180cm
厚み 7.0cm
ファブリック 30デニール・ポリエステル・リップストップ[TPUラミネート]
R値 未公表
収納サイズ Φ8.5×20cm Φ9×20cm Φ10×20cm Φ11×20cm
重量 約294g 約376g 約441g 約514g

THERM-A-REST / サーマレスト

サーマレストのエアマットには独自のトライアンギュラーコアマトリックス構造が採用され、断熱性能と剛性の高い高反発力を備えています。

バルブにはウィングロック付きの独自バルブが採用され、素早いセットアップと排気、空気圧の微調も簡単に行えます。

THERM-A-REST / サーマレスト


ネオエアーXライト

NeoAir XLite

(画像出典:Amazon)

トライアンギュラーコアマトリックス構造にサーマキャプチャー層(サーマルミラー)を1枚備えたエアマット。
筋交いの様に支え合う2層の気室が体圧をしっかり跳ね返すため、安定感があります。
ファブリックには高強度ナイロンが用いられ、表面にはソフトで肌触りがよく、滑りにくい生地を採用。
3~4シーズンに対応するエアマットです。

20,900~

S R RW L
サイズ 51×119cm 51×183cm 64×183cm 64×196cm
厚み 6.4cm
ファブリック 30D高強度ナイロン
R値 4.2
収納サイズ Φ9×23cmcm Φ10×28cm Φ11×28cm Φ11×28cm
重量 約230g 約350g 約430g 約460g

THERM-A-REST / サーマレスト


ネオエアーウーバーライト

NeoAir UberLite

(画像出典:Amazon)

ネオエアーモデルの中でも最軽量なUL仕様のマットです。
重量と共に収納サイズもコンパクトで、アルピニストやスルーハイカーの期待にも応えます。
気室構造にはトライアンギュラーコアマトリックスを採用し、断熱性と快適性に妥協をしていません。
一般的には穏やかな気候向けのR値となります。

22,550~

S R RW L
サイズ 51×119cm 51×183cm 64×183cm 63×196cm
厚み 6.4cm
ファブリック 15Dナイロン
R値 2.3
収納サイズ Φ8×15cm Φ9×15cm Φ10×19cm Φ10×19cm
重量 約170g 約250g 約310g 約340g

THERM-A-REST / サーマレスト


ネオエアーXサーモマックス

NeoAir XTherm MAX

(画像出典:Amazon)

より暖かく、過酷な状況下でも快適に過ごすことが出来る、コンフォート仕様のエアマット。
トライアンギュラーコアマトリックス構造にサーマキャプチャー層を4枚備えた、最高断熱性能のモデルです。
寒冷地での使用が想定される高断熱性能マットでは、頭周辺への冷気の回り込みが防げるレクタングル型がおすすめです。

33,000~

R RW L
サイズ 51×183cm 64×183cm 63×196cm
厚み 6.4cm
ファブリック 表面:30D高強度ナイロン
裏面:70Dナイロン
R値 6.9
収納サイズ Φ10×23cm Φ10×28cm Φ11×28cm
重量 約490g 約610g 約640g

SEA TO SUMMIT / シートゥサミット

シートゥサミットのエアマットには、小さな気室が網目のように配置されるエアスプラングセル構造が採用されています。
個々の気室セルが半独立して体圧に対応することで、極上の寝心地を作り出します。

バルブには逆止弁付きのマルチファンクションバルブが採用され、素早いセットアップと空気圧の微調整が簡単に行えます。

SEA TO SUMMIT / シートゥサミット


ウルトラライト インサレーティッドマット

Ultralite INSULATED

(画像出典:SEA TO SUMMIT)

最軽量シリーズ「ウルトラライトマット」のINSULATEDモデル。
独自のサーマルミラー「Exkinプラチナム」と中空糸繊維「サーモライト」を備える高断熱マットです。
3シーズンに対応する断熱性能とコンパクトなパックサイズは、ハイカーにとって魅力的なバランスです。

15,180~

X-SMALL SMALL REGULAR
サイズ 55×128cm 55×168cm 55×183cm
厚み 5.0cm
ファブリック 30/40DナイロンファブリックTPU
R値 3.1
収納サイズ Φ9×23cm Φ9.5×23cm Φ10×23cm
重量 約349g 約430g 約480g

SEA TO SUMMIT / シートゥサミット


コンフォートライト インサレーティッドマット

Comfortlite INSULATED

(画像出典:Amazon)

コンフォートライトのINSULATEDモデル。
サーマルミラーと中空糸繊維により高い断熱性を備えます。
ウルトラライトINSULATEDより携行負荷はありますが、体圧の強い胴部がデュアルレイヤーとなるため、寝心地や保温性を重視される方はこちらの方がおすすめです。

19,250~

SMALL REGULAR RECTANGULAR
サイズ 55×168cm 55×184cm 55×184cm
厚み 6.3cm
ファブリック 30/40DナイロンファブリックTPU
R値 3.7
収納サイズ Φ10.5×23cm Φ11×23cm Φ11×23cm
重量 約590g 約640g 約680g

SEA TO SUMMIT / シートゥサミット


コンフォートプラスXT インサレーティッドマット

Comfort PlusXT INSULATED

(画像出典:Amazon)

エアスプラングセルの気層が、表と裏で2層に完全に分離したエアマット。
気層が分離しているため表と裏で空気圧を変えることができ、地面の凹凸に合わせたガード圧とクッション性を個別に調整することが出来ます。
更に片面の気層がパンクしたとしても、もう片方の気層は機能するため使用を続けることが可能です。
マット厚、横幅共にコンフォート仕様で、冬季の使用も問題ありません。

25,960

サイズ 64×183cm
厚み 8.0cm
ファブリック 30/40DナイロンファブリックTPU
R値 4.7
収納サイズ Φ14×28cm
重量 約1,185g

SEA TO SUMMIT / シートゥサミット


イーサーライトXTエクストリームマット

Etherlight XT

(画像出典:Amazon)

R値6.2を誇るエクストリーム仕様のエアマット。
中空糸繊維を2層に重ねることで高い断熱性能と高反発力を作り出します。
片手に収まるパックサイズにも拘らず、冬山にも対応するエアマットです。

24,750~

REGULAR LARGE RECTANGULAR-RW RECTANGULAR-L
サイズ 55×183cm 64×198cm 64×183cm 64×201cm
厚み 10cm
ファブリック 30/40DナイロンファブリックTPU
R値 6.2
収納サイズ Φ17.5×24cm Φ18.5×28cm Φ18.5×28cm Φ18.5×28cm
重量 約720g 約950g 約950g 約1,050g

NEMO / ニーモ

NEMOのエアマットは独自の隔壁構造「スペースフレームバッフル構造」が採用されており、高いマット厚と高反発力を両立しています。
うつ伏せになっても肘や膝が地面に底付きすることがありません。

バルブには新型フラットバルブが採用され、付属のポンプサックによる素早いセットアップと、指1本で簡単に空気圧の微調性が可能です。

NEMO / ニーモ


テンサートレイル レギュラーマミー

TENSOR™ TRAIL REGULAR MUMMY

(画像出典:NEMO)

NEMOのベストセラーパッドであるテンサーの後継モデル。
スペースフレームバッフル構造による快適なクッション性が特徴です。
パッドの厚みを増やし、サーマルミラーの配置を見直したことで、R値を2.8まで引き上げています。

24,750

サイズ 51×183cm
厚み 9.0cm
ファブリック トップ:20D 100%リサイクルナイロン
ボトム:40D ナイロン
R値 2.8
収納サイズ Φ9.5×25.5cm
重量 約369g

NEMO / ニーモ


テンサーオールシーズン レギュラーマミー

TENSOR™ ALL SEASON REGULAR MUMMY

(画像出典:NEMO)

テンサーインシュレーテッドの後継モデル。
基本的な構造はテンサーをベースとし、断熱性を高めるためにサーマルミラーが2枚組み込まれています。
インサレーション内蔵によりR値は5.4です。

29,150

サイズ 51×183cm
厚み 9.0cm
ファブリック トップ:20D 100%リサイクルナイロン
ボトム:40D ナイロン
R値 5.4
収納サイズ Φ10×25.5cm
重量 約400g

NEMO / ニーモ


テンサーエクストリームコンディションズ レギュラーマミー

TENSOR™ EXTREME CONDITIONS REGULAR MUMMY

(画像出典:NEMO)

NEMOの最高峰のバックカントリー用エアマットです。
新開発のApex™ バッフル構造と4層のサーマルミラーによる断熱性は、僅か500gに満たない重量でありながらR値8.5をマークします。
真冬のアドベンチャーに欠かせない、最高スペックのULマットです。

35,200

サイズ 51×183cm
厚み 9.0cm
ファブリック トップ:20D 100%リサイクルナイロン
ボトム:40D ナイロン
R値 8.5
収納サイズ Φ10×25.5cm
重量 約472g

今回はエアマットの最重要特性でもある「携行性」が活かせるシチュエーションを想定し、性能と品質において安心できるエアマットに絞って紹介しました。
そのため耐久試験や品質検査による作り込みや性能保証もしっかり備わっており、ハードシーンでも安心して長く使い続けられるものばかりです。

数千円でも購入できるエアマットはありますが、やはり性能と品質面において一線を画します。
穴が空いたら使えなくなるのではなく、補修しながらでも使い続けたい信頼できるエアマットに是非出合って下さい。

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