最適なスリーピングマットはどれ?マットの特徴と構造を種類別に比較

Outdoor Gears

キャンプやテント泊の必需品であるスリーピングマット。
特に冬季には重要な役割を担うギアですが、種類や特徴はしっかり把握していますか?

スリーピングマットには大きく3つの種類があり、それぞれで特徴や構造も大きく異なります。

今回はスリーピングマットの種類や特徴、そして選ぶ時のポイントを紹介しましょう。

スリーピングマットとは

スリーピングマットはシュラフ(寝袋)の下に敷くマットで、地面の凹凸から身体やシュラフを守り、快適な寝心地を得るためのギアです。
また、コンパクトなキャンプではチェアの代わりとしても使用され、食事や休息時の居心地の確保にも一役買います。

快適な寝心地や居心地の確保と聞くと制約のあるキャンプでは贅沢なギアにも聞こえますが、ハードな環境ではこれらの確保は死活問題でもあり、スリーピングマットが占めるウェイトはとても重要です。

重要性を再確認するためにも、まずはスリーピングマットの機能を把握しておきましょう。

スリーピングマットの機能

快適な寝心地や居心地を確保するために、スリーピングマットが担う主な機能は次の3つです。

  • 地面の凹凸を吸収する
  • 心地良いクッション性を確保する
  • 地面からの冷気を遮断し、体温を保温する

テントを張る場所は出来るだけ平坦で水捌けの良い場所という前提はありますが、キャンプ地の地質により避けられない凹凸は付きものです。
特に砂利や岩場では固く角のある凹凸の上で過ごすこともあり、マットの重要性を肌で感じることでしょう。

マットは地面とシュラフの間の緩衝材の役割をし、不快な地面の凹凸が身体に伝わらないようにすると共に、鋭い凹凸と体圧によりシュラフやテントフロアが傷つくことを防ぎます。

同時に身体へは適度な反発力を与え、程良い固さとクッション性により快適な居場所を確保してくれます。

気候の良い時期のキャンプでは、これらのクッション性の確保がマットの担う主要機能となりますが、寒い季節や寒冷地では断熱性能も重要な機能となります。

地面が雪に覆われている状態でなくても、寒い季節や夜間には地面から冷気が上がり体温を奪っていきます。
マットはこの冷気の伝達を遮断すると共に、体温を逃がさないよう保温する機能も備えます。

R値とは

マットの断熱性能は、R値と呼ばれる数値で表されます。

R値は暖かさや保温力とは異なり、熱をどれだけ通さないかという熱抵抗を表す値で、地面と体温との温度差に対してどれだけ均衡を保てるかと言う性能値です。

(画像出典:THERM-A-REST)

R値は数値が高いほど断熱性能が高く、地面の冷気を身体へ通し難いマットと言えます。

地面と体温との温度差が小さい夏場においては、断熱性能はそれ程必要ないためR値は2未満で十分ですが、温度差が大きくなる秋や冬、更には極寒のシチュエーションにおいては、R値3以上の相応の断熱性能を準備する必要があります。

もしひとつのマットで十分なR値が確保できない場合には、断熱性能のあるものを重ねるなどの対応でも効果があります。
R値の定義としては数値の加算が可能となっているため、例えばR値2のクローズドセルマットとR値3.2のエアマットを重ねれば、R値5.2相当の断熱性能と捉えることが出来ます。

マットの複数使用は、断熱性能だけでなく快適指数の向上や破損リスクの分散などのメリットも備えます。
積載量とのバランスを見ながら検討すると良いでしょう。

スリーピングマットの種類と選び方

スリーピングマットには、大きく3つの種類があります。

クローズドセルマット / フォームマット

(画像出典:NEMO)

クローズドセルマットはフォームマットとも呼ばれ、ポリエチレンなどをフォーム状(スポンジ状)に加工したものを母材とするマットです。

フォーム自体の性能に加え、形状やサーマル処理により断熱性能やクッション性能などのマットの性能が作られます。

クローズドセルマットは空気を注入する必要がないためセットアップの手間がなく、更に破損による空気漏れのリスクがないため信頼性の高いマットです。
しかしパックサイズにおいてはマットの体積が変化しないため、収納スペースの確保や携行性においては低いポジションとなります。

R値が加算できることとパックサイズの制約がある中で、クローズドセルマットは概ねR値2程度のものが主流となります。

エアマット

(画像出典:THERM-A-REST)

エアマットは、浮輪のように空気を入れ膨らませて使用するマットです。

どのエアマットでも使用方法は概ね同じですが、構造には多くの種類があり、断熱性能やクッション性能、更に丈夫さや快適さにおいて大きな違いを持ちます。
価格帯が広いのも構造や性能の幅が広いためで、選択には細かな確認が必要です。

エアマットは体積の多くを空気が占めるため、収納時に非常にコンパクトなパックサイズとなることが特徴です。
パッキングを抑えたい登山泊などでは特に重宝されます。

ハイスペックモデルでは生地の強度も高くリペアにも対応していますが、破損するとマットとしての性能が機能しなくなるというリスクがあります。

インフレーターマット

(画像出典:SEA TO SUMMIT)

インフレーターマットはインフレータブルマットとも呼ばれ、内部にウレタンフォームを備える自動膨張型のエアマットです。
ウレタンフォームの復元力により自動的に空気を吸い込み膨張するため、エアマットに比べてセットアップに手間が掛かりません。

インフレーターマットは空気とフォームの2種類の層により、厚み比において高い断熱性能とクッション性を備えます。
但し厚くすればするほど収納性が悪くなるため、快適性と携行性のバランスが重要となるマットです。

また、空気が漏れても最低限の使用が出来るという特徴を持つため、破損リスクが伴うシーンでは信頼性のあるマットです。

スリーピングマットの選び方

これまでの内容をまとめてみましょう。
全てのシチュエーションに対して当てはまる訳ではありませんが、概ねマットの特徴は次のようになります。

クローズドセルマット エアマット インフレーターマット
断熱性
~R2.5程度

R1.0~6.0以上

R2.5~6.0以上
クッション性
携行性
高R値は△
価格 数千円 数千円~数万円 数万円

ここで重要になるのは、どんなシチュエーションでどのようなキャンプを想定しているのかという事です。

まずは断熱性能としてどのレベルのR値(幅)が必要なのか、そしてパックサイズや重量などの携行性の考慮は必要なのか、更に破損は大きなインシデントとなりうるのか。

これらを考慮してマットをシングルで用いるのか複数重ねるのかを決め、最終的に必要なマットを選ぶこととなります。

もちろん同種のマットの中でも性能差が大きくあるため、最適なマットの選択には多くの知識と決断が伴います。

本サイトではそれぞれのマットの特徴を個別にまとめていますので、是非参考にしてください。

クローズドセルマット / フォームマット


(画像出典:NEMO)

断熱性 ~R2.5程度
クッション性
携行性
価格 数千円

エアマット


(画像出典:THERM-A-REST)

断熱性 R1.0~6.0以上
クッション性
携行性
価格 数千円~数万円

インフレーターマット


(画像出典:SEA TO SUMMIT)

断熱性 R2.5~6.0以上
クッション性
携行性 〇(高R値は△)
価格 数万円
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