ガスバーナーを寒冷地仕様へ。ドロップダウンを防ぐ『パワーブースター』

Outdoor Gears

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キャンプやハイクの燃料としてガスは多くのアウトドアマンが利用しています。

総合的にコンパクトに収納出来ること、手軽で安全に利用出来ることがガス機器の魅力ですが、寒い時期に火力が落ちるという弱点もあります。
この現象はドロップダウンと呼ばれますが、今回はドロップダウンを防ぐためのパワーブースターというギアを紹介しましょう。

ガス機器の弱点。ドロップダウンとは

ドロップダウンは低温下のガス機器に起こる性能低下現象です。

アウトドアで使用するポータブルなガス機器は、CB缶またはOD缶といったガスカートリッジ(ガスボンベ)を用います。

ガスカートリッジ内は、圧縮され液化した燃料と飽和した気化ガスで満たされています。
バーナーなどと連結してバルブを開くと、気化したガスがガスカートリッジ内の内圧により押し出され、燃焼部に届けられます。

この時、ガスの放出と共にカートリッジ内の圧力も消費されますが、カートリッジ内は液体と気体とが飽和蒸気圧の関係でバランスを保つ「気液平衡」状態のため、ガスが常温であるならば燃料を使用してもガスカートリッジ内の圧力減少はほとんどありません。(消費した分のガスと圧力は、液体燃料が気化することで補充されます。)

ガスカートリッジ内に十分な圧力がある状態ではガスの供給が安定し火力も安定しますが、ガスが少なくなってきたり何等かの影響でガスカートリッジ内の内圧が低下すると、ガスの供給量が減少し燃焼が不安定になります。

この何等かの影響のひとつにドロップダウンという現象があります。

ドロップダウンの原因

ドロップダウンとは何か、ドロップダウンが起こるメカニズムを簡単に説明しましょう。

唐突ですがボイル=シャルルの法則を覚えていますか?
ボイルとシャルル、そしてゲイルのそれぞれの法則を組み合わせた法則ですが、中でもゲイルの「体積が一定の場合、理想気体の圧力と絶対温度は比例する」という法則がドロップダウンに大きく関係します。

話は少し戻りますが、カートリッジ内は気液平衡状態のため、短時間でみると燃焼中もカートリッジ内の圧力に大きな変化はありません。
然し細かく見ると、ガスが使用されることでカートリッジ内では液体燃料が気化してガスを生成しているため、気化熱による温度低下が起こっています。

このふたつの説明はボイル=シャルルの法則「体積が一定の場合、理想気体の圧力と絶対温度は比例する」からすると矛盾しているように思いますが、熱の出入りはカートリッジ内だけで行われる訳ではないため、視野をもう少し広げてみると矛盾でない事がわかります。

カートリッジ及び燃料は、外気温の影響も強く受けています。
温かい季節であれば気化熱により奪われる熱よりも外気温により暖められる熱の方が大きいため、著しい圧力低下には至りません。
これが先程の矛盾の答えです。

しかし、外気温が低い時期には気化熱による温度低下を外気温が補うことが出来なくなり、圧力低下を引き起こします。
暖かい季節でも夜間に気温が下がってくるとガスランタンなどのカートリッジが結露することがありますが、これも気化熱による温度低下の影響です。

更に冬場や寒冷地ではそもそもカートリッジ自体が外気温により温度が下げられるため、カートリッジ内の圧力が正常時よりも低下します。
何とか着火させることが出来たとしても燃焼を続けることで気化熱によりどんどん圧力が低下し、結果ガスの供給が不安定になり正常な燃焼状態が保てなくなります。

これがドロップダウンです。

パワーブースターとは

ガス機器は燃料を使い続ける限り気化熱による温度低下が起こります。
例えドロップダウンの原因が気化熱だとしても、それを防ぐ手立てはありません。

そのため、ドロップダウンを防ぐ方法は真の原因である気化熱の発生を止めることではなく、気化熱により奪われる温度を補う方法が一般的です。

パワーブースターは温度低下を加熱により補填するギアのひとつで、ガスが燃焼する際の燃焼熱をガスカートリッジ伝達することで温度低下を防ぐことが出来るギアです。

パワーブースターは銅板などの熱伝導性の高い材料で作られ、構造はいたってシンプルです。
敢えて部位に分けるとすると本体と受熱部の2つの部位で構成され、本体をカートリッジに取り付けて受熱部を燃焼部付近に配置することで、バーナーにより加熱された受熱部から本体、そしてガスカートリッジへと熱が伝達される仕組みです。

基本的には各ブランドのガスカートリッジに対して専用設計となっているため、使用可能機器としてメーカーが指定しているもの以外に用いる場合は自己責任となります。
特にガスカートリッジの過度な加熱は暴発の原因となるため注意しましょう。

厳選 パワーブースター

それではパワーブースターの紹介です。
パワーブースターはパワーチャージャーやサーマルインクリーザーなど多くの呼び名を持つギアですが、呼び名の数とは反して限られたブランドからしか発売されていないマイナーなギアです。

今回はその中でもメジャーなパワーブースターをピックアップして紹介します。

CAPTAIN STAG / キャプテンスタッグ


パワーインクリーザー500

POWER INCREASER 500

(画像出典:Amazon)

マグネットの力でガスカートリッジに取り付けて使用する、OD缶用パワーブースター。
バーナーの熱が真鍮を伝わりカートリッジを温めます。
樹脂カバーにより外周が保護されています。

3,080

サイズ H204×D85mm
重量
対応機種 CS-500用

EPIgas / イーピーアイガス


フリーライトチャージャーⅡ

(画像出典:Amazon)

マグネットの力でガスカートリッジに取り付けて使用する、OD缶用パワーブースター。
素早く熱を伝達し、着火後の火力安定化を行います。
高温になるとロゴのデカールが「高温注意」の文字に変わる機能付きです。

4,180

サイズ H148×D82mm
重量 約63g
対応機種 NEO、REVOシリーズ、BPSシリーズ
対応容器 230レギュラー、230パワープラス、 190エクスペディション

SOTO / ソト


パワーブースター

POWER BOOSTER ST-553

(画像出典:Amazon)

マグネットの力でガスカートリッジに取り付けて使用する、CB缶用パワーブースター。
受熱部周辺が自由に曲げられ、狙った場所への設置が可能です。
数少ないCB缶対応のパワーブースターです。

2,750

サイズ W250×D100×H20mm
重量 約200g
対応機種 ST-525、ST-522、ST-532、ST-531、ST-530、STG-A50

SUMMIT FOCUS / サミットフォーカス


デュープレックス エックス パワーチャージャー

DUPLEX X POWER CHARGER

(画像出典:Amazon)

マグネットの力でガスカートリッジに取り付けて使用する、OD缶用パワーブースター。
輻射熱による磁力低下が起こっても、マグネットを取り換え使用することが出来ます。
本体蓄熱部が2段分離構成になっているため、ダブルを入手すればシングルとしても使用することが可能です。
シングルで55gという軽さも魅力です。

6,380~

SINGLE DOUBLE
サイズ W6.5×D2.3×H16cm W6.5×D2.3×H21cm
重量 約55g 約88g

雪が降るような寒い時期にはドロップダウン対策が必須です。

手軽に貼るだけで冬山対策が出来るパワーブースターは、ガス機器ユーザーにおすすめのサポートギアです。

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