アウトドアギアの中で最も注力して選ぶべきアイテムのひとつが、シュラフ(寝袋)ではないでしょうか。
如何に疲労を貯めずに目的地へ辿り着けるか、如何に疲れを癒して次の日を迎えられるか、アウトドアにおいてシュラフの役割はとても重要です。
この記事ではビギナーからベテランまで納得のいくシュラフが選べるよう、シュラフの基礎とおすすめを紹介します。
シュラフ/寝袋を選ぶ時のポイント
シュラフとはキャンプやアウトドア、そして災害時などに利用する寝具です。
保温性のある生地が全身を包み込むことで体温を逃がさず熱を保ちます。
特に晩秋から初春の間は夜の冷え込みが厳しいため、保温性の高いシュラフが必須です。
しかし保温性さえ高ければ良いという事でもなく、季節やシチュエーションに合うシュラフを選ぶことが重要です。
柔らかさや価格、色などを選定理由にすることは間違いではありませんが、もう少しシュラフの機能に踏み込み、あなたのキャンプスタイルに適したシュラフを選んでみましょう。
シュラフを選ぶときのポイント
シュラフを選ぶ時は次の5つのポイントをしっかり確認しましょう。
- シュラフの形
- 中綿の種類
- 下限温度(リミット温度)
- 収納サイズ
- 重量
シュラフの形
シュラフの形には、大きく分けると「封筒型(レクタングル型)」と「マミー型」の2種類あります。
(画像出典:Amazon)
封筒型は布団を重ね合わせたような長方形のシュラフです。
一方マミー型はその名の通りミイラのような形のシュラフです。
最近は人型のタイプも出現していますが、このタイプも一般的にはマミー型に分類されます。
封筒型とマミー型の大きな違いは、保温性と収納性です。
包まった時にシュラフと人との間に隙間ができやすい封筒型は、春夏秋の比較的温暖な時期に適しています。
外気との換気調整が行える上、暑い夏には全開にすることで掛布団としても使用できます。
一方マミー型は顔周りの隙間もしっかり防ぎ、且つ体とシュラフを密着させることで高い保温性を備え、秋冬春の寒い時期にも対応します。
同じ保温性能で比べるとマミー型の方が体積が小さくなるため、一般的に収納性ではマミー型の方がコンパクト且つ軽量になります。
- 外気との換気調節が行い易く暖かい季節の使用に適しています。
- 圧迫感が少なく、更にシュラフを開くことで掛布団としても使用できます。
- 顔周りの解放部が少なく冷気の混入が少ないため、寒い地域、季節の使用に適しています。
- シュラフ内で動いてもシュラフがずれ難く、体温を逃がしません。
シュラフを選ぶ時はまず使用する季節や地域、つまりは気候に合わせてシュラフの形を決めることが第一歩になります。
中綿の種類
中綿には一般的に「ダウン」と「化繊(化学繊維綿)」の2種類が使用されます。
一般的な布団やジャケットの仕様と同じように、ダウンの方が保温性に優れ軽量且つコンパクトに収納出来ます。
そのためバックパックでの移動が想定される場合は積載を抑えるためにダウンが選ばれますが、洗濯、乾燥といったメンテナンスに手間が掛かるのもダウンです。
選択の決め手はやはり使用環境になります。
睡眠中はコップ1杯分の水分が発散されると言われますが、夏場のテント泊の場合はそれ以上になります。
特に寒冷地での使用が想定されない場合は、メンテナンスを重視し化繊を選択されることをおすすめします。
化繊はもっぱらダウンに比べて価格が安い事も特徴です。
- 保温性に優れ、軽量且つコンパクトに収納出来ます。
- 洗濯、乾燥といったメンテンナンスに手間が掛かります。
- (ダウンに比べ)保温性は劣りますが、メンテナンス性は良好です。
- (ダウンに比べ)安価です。
下限温度(リミット温度)
下限温度とは「一般的な代謝の人が、寝袋の中で丸まった状態で、寒さを感じることなく睡眠が出来る温度」を言います。
メーカーにより規格が異なる場合がありますが、おおよそ下限温度やリミット温度という表記がされます。
下限温度とは別に「快適温度(コンフォート温度)」や「極限温度(エクストリーム温度)」というものもありますが、これらは下限温度と異なりますので間違えないようにしましょう。
- 快適温度:代謝が低い人が、リラックスした姿勢で、寒さを感じることなく睡眠が出来る温度
- 極限温度:代謝が低い人が、寝袋の中で丸まった状態で、寒さに震えながら6時間持ちこたえられるとされる温度
下限温度は中綿の種類と量、そしてシュラフの造りにより決まります。
使用する季節、場所などの環境温度が下限温度より下回らないものを選びましょう。
収納サイズ、重量
アウトドアにおいて収納サイズと重量は重要なファクターです。
必要性の説明は不要と思いますが、選定時は忘れずに確認してください。
厳選 シュラフの紹介
それではおすすめのシュラフを紹介します。
メジャーなシュラフにはいくつか下限温度に合わせたラインナップが揃えられています。
各スペック表に記載の下限温度は紹介のシュラフが適応する下限温度のラインナップとなりますので、気になるシュラフを見つけた際は同モデルから使用シーンに適した下限温度のシュラフを選んでみてください。
まずは封筒型から紹介し、続いてマミー型の順に紹介していきましょう。
封筒型シュラフ
Coleman / コールマン
パフォーマーⅢ/C5
シュラフの形 | 封筒型 |
中綿の種類 | ポリエステル(化繊) |
快適温度 | 5℃ |
収納サイズ | φ24×41 |
重量 | 約1,400g |
Coleman / コールマン
マルチレイヤースリーピングバッグ
シュラフの形 | 封筒型 |
中綿の種類 | ポリエステル(化繊) |
下限温度 | 不明(快適温度:12~-5℃) |
収納サイズ | 46×26cm |
重量 | 約4,900g |
ogawa / 小川
ダウンシュラフ800
シュラフの形 | 封筒型 |
中綿の種類 | ダックダウン90-10% (750FP) |
下限温度 | -4℃ |
収納サイズ | Φ22×45cm |
重量 | 約1,290g |
マミー型シュラフ
Coleman / コールマン
コルネットストレッチⅡ
シュラフの形 | マミー型 |
中綿の種類 | ポリエステル(化繊) |
下限温度 | -5℃ |
収納サイズ | φ45×25 |
重量 | 約1,600g |
mont-bell / モンベル
シームレス アルパイン バロウバッグ
シュラフの形 | マミー型 |
中綿の種類 | エクセロフト(化繊) |
使用可能温度 | 9~-14℃ |
ISUKA / イスカ
アルファライト
ALPHA LIGHT
シュラフの形 | マミー型 |
中綿の種類 | Micro Lite(化繊) |
下限温度 | 6~-20℃ |
ISUKA / イスカ
ダウンプラス
DOWN PLUS
シュラフの形 | マミー型 |
中綿の種類 | ダックダウン90/10%(750FP) |
下限温度 | 6~-30℃ |
ISUKA / イスカ
エアドライト
AIR DRYGHT
シュラフの形 | マミー型 |
中綿の種類 | ダックダウン90/10%(750FP) |
下限温度 | 8~-25℃ |
mont-bell / モンベル
シームレス ダウンハガー800
シュラフの形 | マミー型 |
中綿の種類 | EXダウン(800FP) |
使用可能温度 | 7~-20℃ |
snow peak / スノーピーク
バクー
BACOO
350 | 550 | |
シュラフの形 | マミー型 | |
中綿の種類 | ダックダウン90-10%(800FP) | |
下限温度 | 1℃ | -7℃ |
収納サイズ | φ16×25cm | φ21×34cm |
重量 | 約830g | 約1,120g |
NANGA / ナンガ
オーロラライト
AURORA light
350 | 450 | 600 | 750 | 900 | |
シュラフの形 | マミー型 | ||||
中綿の種類 | DX:スペイン産ダックダウン90-10% (760FP) SPDX:ポーランド産グースダウン93-7% (860FP) |
||||
下限温度 | DX:0℃ SPDX:-6℃ |
DX:-5℃ SPDX:-13℃ |
DX:-11℃ SPDX:-18℃ |
DX:-16℃ SPDX:-22℃ |
DX:-19℃ SPDX:-27℃ |
収納サイズ | φ13×25cm | φ14×30cm | φ17×31cm | φ19×31cm | φ21×41cm |
重量 | 約730g | 約865g | 約1,100g | 約1,280g | 約1,400g |
シュラフはアウトドアの質を上げる重要なアイテムです。
外観からは分かり難い部分に使い勝手や性能に対する工夫が施されています。
特にハードなシーンでの使用を想定している場合には細部までよく確認し、納得のいくシュラフに出合ってください。