季節が秋へと移るに連れ、夜間の冷え込みが始まります。
春夏用の寝袋では保温力が不足し、温度差による結露で寝袋が濡れ、十分な休息が難しくなってきます。
寒さ対策や結露対策には様々な方法がありますが、汎用性が高く軽量化にも繋がる方法として、今回はシュラフカバーを紹介しましょう。
シュラフカバーとは
シュラフカバーとは、その名の通り、シュラフに被せて使用するアイテムです。
シュラフカバーの役割から確認していきましょう。
シュラフカバーの用途、目的
シュラフカバーの主な用途、目的は次の3つです。
- シュラフを汚れから守る
- シュラフを濡れから守る
- 保温性を高める
1.シュラフを汚れから守る
ひとつ目の目的はシュラフを汚れから守る事です。
汚れが付着するケースはいくつも考えられますが、例えば風の強い日にメッシュタイプのインナーテントで寝る場合、テント内に土埃などが入ってくることがあります。
土埃がシュラフとグランドシートの間に入ると寝返りの度にシュラフは汚れ、場合によっては破損することもあります。
シュラフカバーは高価で洗い難いシュラフを保護する役割を担います。
2.シュラフを濡れから守る
汚れ以上に問題となるものが濡れです。
シュラフが濡れると著しく保温力が低下し、濡れが激しい場合には体を冷やす要因ともなります。
もし気温が低い時期にシュラフが使えなくななれば、それは命の危機に繋がるため、シュラフを濡れないようにする事はとても重要です。
シュラフが濡れる要因としてはいくつかあります。
よくある事例としては「悪天候時に濡らす」「テント内の結露により濡れる」「飲み物などを溢して濡らす」でしょう。
・悪天候時に濡らす
雨や霧が発生しているような悪天候時は、シュラフだけでなく多くのギアが濡れます。
テント内が濡れないように設営をしても、体やギアに付いた水滴を持ち込んだり、テントの出入りで雨が吹き込んでくることもあります。
・テント内の結露により濡れる
テント内外の気温差が大きくなる寒冷期や標高の高い地では、自身の体温や呼気によりテント内に結露が発生します。
特に外気温が5℃以下となるとテント内壁から垂れる程の結露が発生することもあります。
結露で濡れたフロアやマット、テント内壁などにシュラフが接触すると、たちまちシュラフが濡れて保温力が大きく低下します。
・飲み物などを溢して濡らす
寒い時期にはシュラフを纏って過ごすこともあります。
不意に飲み物を溢したり、調理中の鍋を倒したとしても、シュラフカバーを装着していれば助かることもあるでしょう。
気温が低くなるにつれ、これら外部からの濡れのリスクや発生頻度が増してきます。
予期できる場合も予期できない場合も、シュラフカバーにより助かるシーンは多いでしょう。
3.保温性を高める
シュラフカバーは薄手の生地ではありますが、シュラフに重ねて使用することで保温性を高める効果を得られます。
例えば春夏秋の3シーズン用シュラフでも、シュラフカバーを重ねることで初冬まで使うことが出来る場合もあります。
また、気温が比較的高い時期には、シュラフカバーのみで過ごすという使い方も可能です。
シュラフカバーのデメリット、リスク
シュラフカバーの装着で得られるのはメリットだけではありません。
- 内部結露による保温力低下
- 空気層が減少し、保温力が低下
- 圧迫感などによる不快感
1.内部結露による保温力低下
低温下では、シュラフカバーを境にテント内の温度とシュラフの温度との間に温度差が生じます。
この時シュラフ内の湿度が高いと、テントの内壁が結露するのと同様に、シュラフカバーの内側が結露します。
就寝時、人はコップ1杯分の水分を発散すると言われています。
結露対策で装着したはずのシュラフカバーが結露を生むという皮肉な話ではありますが、特に代謝が良い方はシュラフカバー内の結露リスクが高いため、透湿性の高い素材を選ぶなど内部結露の対策も重要です。
2.空気層が減少し、保温力が低下
デメリットと言うより注意点としての内容になります。
シュラフにはそれぞれ形状やサイズなどの個性があります。
これに対し、シュラフカバーの種類、サイズレパートリーは多くありません。
シュラフに対してシュラフカバーが小さ過ぎると、ダウンなどが十分膨らまず保温力が低下します。
シュラフとシュラフカバーの組み合わせにも注意が必要です。
3.圧迫感などによる不快感
シュラフとシュラフカバーの組み合わせの悪さだけでなく、一般的なシュラフカバーは伸縮性が高くありません。
シュラフだけで寝ている時は膝を曲げたり寝返りを打てたり出来ていても、シュラフカバーを装着すると動きが制限され、自由度が少なからず減少します。
人によっては圧縮されているような不快感を感じることもあります。
また、シュラフカバーの開口部は、シュラフほど自由に調整が行えるものは限られています。
出入りが窮屈だったり通気調整が出来ないなど、睡眠環境の微調整が出来ないところに不便さを感じることもあります。
これらの感覚は個人差もあり組み合わせにもよりますので、実践投入する前に一度は試しておくことをおすすめします。
シュラフカバーの機能と種類
シュラフカバーの役目やデメリットを把握したところで、使用環境に適したシュラフカバーを選ぶための基本機能を再確認しておきましょう。
シュラフカバーの基本となる機能は次の4つです。
- 防水・撥水性能
- 透湿性
- レイヤー構造
- サイズと重量
防水・撥水性能と透湿性
これに対して透湿性は内側の蒸れや結露を防ぐための性能です。
防水性と透湿性に優れた素材、つまり水は通さず水蒸気はよく通す素材がシュラフカバーには好ましいことになります。
代表的な素材としてGORE-TEX(ゴアテックス)が有名ですが、その他にもブランド独自開発の防水透湿性素材が存在します。
防水透湿性能が高いものほど高価になる傾向があるため、コストとパフォーマンスの見極めが大切です。
レイヤー構造
レイヤーは生地の階層構造のことです。
基本構造としては防水透湿性を備えた2レイヤー構造がベースとなり、更に内側に耐摩耗性や保温性を備えた第3のレイヤーを重ねたものが3レイヤー構造です。
2レイヤーはシュラフを守ることが基本機能であり、シュラフに装備して使うことが前提ですが、3レイヤーはそれ自体に保温性と耐摩耗性が備えられているため、温かい季節にはシュラフカバー単体で使用することが可能です。
カバーとしての機能は3レイヤーの方が優れますが、3レイヤーは生地が増えることで重量が増加するという特性があるため、軽量化を考えている方は2レイヤー、または2.5レイヤーが適するでしょう。
サイズと重量
サイズと重量の確認も忘れてはなりません。
シュラフの形状、サイズに適したシュラフカバーを選定しなければ、保温性の低下や不快感の増大につながります。
しかし多くの場合性能の高いものを求めると比例して重量も重くなる傾向にあります。
サイズと機能、そして重量の3要素のバランスが重要ですが、使用するシチュエーションや各々の体質、スタイルにより差が出来るという事も念頭に、適したシュラフカバーを選ぶ事が大切です。
厳選 シュラフカバーの紹介
それではシュラフカバーの紹介です。
シュラフカバーは性能、材質、価格など、パフォーマンスとコストのバリエーションが多いアイテムです。
様々なバランスの中から実績の多いものをピックアップして紹介しましょう。
finetrack / ファイントラック
エバーブレス スリーピングバッグカバー
EVERBREATH SLEEPING BAG COVER
サイズ | 肩幅80×全長205cm |
ファブリック | エバーブレス 3D/2.5レイヤー (耐水圧:10,000mm、透湿性:8,000g/m2・24h) |
収納サイズ | 9.5×9.5×13cm |
重量 | 約275g |
finetrack / ファイントラック
エバーブレス スリーピングバッグカバーUL
EVERBREATH SLEEPING BAG COVER UL
サイズ | 肩幅76×全長220cm |
ファブリック | エバーブレス Type-C/2.5レイヤー (耐水圧:10,000mm、透湿性:10,000g/m2・24h) |
収納サイズ | φ8.5×12cm |
重量 | 約222g |
oxtos / オクトス
透湿防水 タフシュラフカバー/レギュラー
サイズ | 肩幅83×底幅53×全長202cm |
ファブリック | 上面:15D透湿防水マイクロリップストップナイロン/2レイヤー 背面:40Dナイロン透湿防水ポリウレタンコーティング/2.5レイヤー |
収納サイズ | 5×11×17cm |
重量 | 約268g |
oxtos / オクトス
高透湿防水 シュラフカバー/レギュラー
サイズ | 肩幅83×底幅53×全長202cm |
ファブリック | SOFANDE/2レイヤー (耐水圧:20,000mm、透湿性:20,000g/m2・24h) |
収納サイズ | 12.5×8×18cm |
重量 | 約265g |
mont-bell / モンベル
ブリーズ ドライテック スリーピングバッグカバー
サイズ | 肩幅77×全長224cm |
ファブリック | ブリーズドライテック/2レイヤー (耐水圧:25,000mm、透湿性:15,000g/m2・24h) |
収納サイズ | 8×5×18cm |
重量 | 約186g |
mont-bell / モンベル
ブリーズ ドライテック プラス スリーピングバッグカバー
サイズ | 肩幅77×全長224cm |
ファブリック | ブリーズドライテック プラス/2レイヤー (耐水圧:20,000mm、透湿性:35,000g/m2・24h) |
収納サイズ | 8×5×18cm |
重量 | 約186g |
mont-bell / モンベル
ブリーズドライテック ウォームアップスリーピングバッグカバー
サイズ | 肩幅77×全長225cm |
ファブリック | ブリーズドライテック/3レイヤー (耐水圧:25,000mm、透湿性:15,000g/m2・24h) |
収納サイズ | φ11.5×27cm |
重量 | 約490g |
ISUKA / イスカ
ゴアテックスインフィニアムシュラフカバー ウルトラライト
GORE-TEX INFINIUM Sleepingbag Cover Ultra Light
サイズ | W87(肩幅)×D209(全長)cm |
ファブリック | GORE-TEX INFINIUM/3レイヤー |
収納サイズ | 7×8×22cm |
重量 | 約360g |
SOL / ソル
エスケープヴィヴィ
Escape Bivvy
サイズ | 肩幅81×全長213cm |
ファブリック | アルミ蒸着加工を施した特殊フィルム+ポリエステルシート |
収納サイズ | φ11×17cm |
重量 | 約241g |
mont-bell / モンベル
タイベック スリーピングバッグカバー
サイズ | 肩幅84×全長225cm |
ファブリック | タイベック(ポリエチレン) |
収納サイズ | 9×5×19cm |
重量 | 約154g |
muraco / ムラコ
タイベック サーモ スリーピングバッグ プロテクター
Tyvek®︎ “THERMO” SLEEPING BAG PROTECTOR
サイズ | 肩幅86×全長220cm |
ファブリック | タイベック シルバー(ポリエチレン, アルミニウム) |
収納サイズ | φ12×20cm |
重量 | 約265g |
NANGA / ナンガ
ウォータープルーフ スリーピングバッグカバー
WATERPROOF SLEEPING BAG COVER
サイズ | 肩幅85×全長220cm |
ファブリック | 50D ポリエステル(TPU ラミネート) |
収納サイズ | 11×13cm |
重量 | 約505g |
シュラフカバーがターゲットとしているシーンは、体温と気温との温度差が大きく、湿度が高いハードなシチュエーションです。
そのためレジャーのキャンプではあまり浸透していないアイテムですが、雨や汚れからシュラフを守る機能はキャンプ全般で有用です。
結露や雨などで困っている方は是非検討してみてください。
(アイキャッチ画像出典:Amazon)